休職〜入院

疾患

去年の夏に精神科の病院に1ヶ月半ほど入院しました。7回目の入院でした。ある意味ではもうベテランです。こういうベテランはこの世に必要ないのです。

初めての休職

いままでの入院も色々理由があってのことなのですが、ある時は暴れ、ある時は希死念慮が強く、ある時は奇行に走り、といくつかの種類に分けられるのですが、いずれも最終的には「これ以上生きていくのが無理だ」という判断で、休職となります。

始めについた病名が適応障害、でした。
「何ですか?それ」

「鬱の一歩手前の状態です」

「どうすれば治りますか?」

「鬱の治療と同じです」

休職したくて入院したことはありません。当たり前ですが、休んだ方が良いだろうという理由で休みます。初めて休職した時は実は入院してません。1ヶ月ほど休職しました。その時の主治医が診断をして、初めて治療になりました。

「まずはこの薬を飲んで寝ててください」(=多分ジェイゾロフトだったと思います)

「飲んで寝てるとそのうち退屈になってくるので、そうしたら少し散歩でもしてください」

確かに退屈になってきました。でも実際は早く治すんだ、という気持ちが強かったと思います。これがあまりよくない結果を引き起こすのですが・・・

図書館リハビリ

「散歩ができる様になったら、図書館に行ってください」と言われました。
なぜ図書館?と疑問に思いましたが、先生の言うには

「まずは図書館まで行って、中に入らずそのまま帰って下さい」
「次に図書館の中に入って、何もしないで帰って下さい」
「今度は図書館で、本を読んでも読まなくても、何でもいいから、何かして5分くらいで帰って下さい」
「次に図書館で、本を読んでも読まなくても、何でもいいから、何かして30分くらいで帰って下さい」
「今日は図書館で本を1時間読んでください」
「今日は半日、本を読んでください」
「今日は8時間、本を読んでください」
「今週は3日間本、を8時間読んでください」
「今週は4日間本、を8時間読んでください」

最終的に

「週に5日、8時間本が読めるようになったら、復職可能です」という、図書館リハビリをしていたのでした。トヨタ自動車でも同じようなリハビリ、社会復帰をすると聞いたことがあります。

約1ヶ月かけて、週5日・8時間読書ができる様になりました。復職です。
復職後は丸々8時間勤務しました。

これは本当は良くない復職なのですが、やっぱり根底には「早く遅れを取り戻して、他のみんなを心配させず、元の自分に戻るんだ」という気持ちが強かったです。

奇行

その後は会社でのトラブルが鬱積すると、希死念慮が強くなり、ある時は未遂、ある時は蒸発、ある時は暴力、奇行。

そして2022年になると危険運転・・・ジグザグ走行、急ブレーキ、急アクセル。ひどいですね。
ペットボトルの水を2L買ってきて、運転席に座った状態で頭からかぶって、ギャーギャー騒いでました。服も髪もびしょ濡れですが、そんなことでもしてないと気が晴れませんでした。

というのも、前述したとおり7回入院してて、その都度僕の仕事は他の人が担当するのです。「MAXさんに任せると負担が大きいし、また休職されると仕事が滞るから、私達でやります」といった形で段々自分の居場所がなくなっていったのです。それでもデキるサラリーマン、ビジネスパーソンみたいにファミレスでノートパソコンでExcelでデータ分析用の表を作ったりしてました。

ジョブズとゲイツ

ところで今の仕事の礎となる仕事は、ほとんどが僕が作ったものです。

でもそれをいちいち認めてはくれないのです。スティーブ・ジョブズやビル・ゲイツに対していちいち
「i phone 作ってくれてありがとうございます」
「マイクロソフトを作ってくれて助かってます、感謝します」
とはならないわけです。

そこを勘違いし出したのかもしれません。
「これは俺が作った」
「こんな複雑なデータの分析できて、すごいだろう?」

口には出しませんが、そんなことを思って賞賛してくれると思い込んでいたのです。
要するに承認欲求が強く、プライドが高いということになります。
そこを認めてもらえず、反対に意見されたり批判されたりすると

日向ぼっこ

「俺が作ったモノや事に対して盾突くとは、良く言えたな!?」という歪んだ感情を持つようになっていったのです。もう何に対してもそんな感じでした。敏感というか、弱いところを感情で隠すというか、そんな態度でした。

そのたびに未遂やら奇行を繰り返し、休職や入院に至るわけです。
一番ひどかったのは「MAXさんは何にもしなくてもいいので、どこで何していてもいいですよ」と言われた時です。それが復職1日目。
まるで「おじいちゃんは何にもしないで縁側で日向ぼっこしていてください」と言われているようで、たまらなく惨めな気分になりました。本当にやるべきことが見つからず、現場の駐車場を竹ぼうきで掃き掃除してたこともありました。あの時はわずか3日間で再休職となりました。

今なら遠慮なく日向ぼっこさせてもらいますが、当時はプライドがズタズタに引き裂かれたような気分でした。さりとて他のスタッフさんは僕の方が目上なので、意見がしづらかったのかもしれませんが段々呆れられるようになったと思います。

やがてMAXはやはりどこで何をやってもいいという運びとなり、ノートパソコン持ってファミレスや車の中で仕事をするようになって、少しずつですが仕事に対するモチベーションを取り戻しつつありました。

ただやはり自分のやった仕事に対する評価が欲しかったのでしょうね。何のために仕事をしているのか、わからなくなってきました。
自慢のため?褒めもらいたいため?何が欲しいため?

これって犬に似てますね。飼い犬がご褒美をもらいたいので、飼い主の指示ができたら餌がもらえる、というような。つまり僕は飼い犬だったのです。それもいうことを段々聞かなくなっている出来の悪いはぐれた犬に。そして前述した危険運転と奇行でもう限界でした。

キョウチクトウ中毒事件

最低の未遂事件は「キョウチクトウ中毒事件」でした。

キョウチクトウには猛毒がある樹木で、葉・茎・花、全てに青酸カリの30倍の毒が含有されているといいます。青酸カリの30倍ですよ。確実にあの世ですよね。生えている場所を知っていたので、葉っぱ10枚と茎を1本食べました。これであの世に行ける、死ねる。青酸カリでも一瞬ですから。

でもいつまで経っても意識を失うでも倒れるでもなく、ただ単純に気分が悪いだけでした。
ああ、これは単なる未遂で終わるパターンだ、と悟りました。
聞くところによると、バーベキューをするためにキョウチクトウの枝に肉を刺して焼いたところ、キョウチクトウの毒で全員死んだとか、牧場で数十グラムのキョウチクトウの葉が混ざっただけで何頭も死んだ、などの逸話があるくらいです。

でも僕は生きている。

気分が最悪の状態で会社に戻りこう告げました。
「多分、しばらく出社できなくなるから、会社のドアの鍵を返します。おつかれさまでした」
バスが来るまでにはまだ時間がかかるので、タクシーを呼んで自宅まで帰宅しました。もうダメです。トイレでものすごい勢いで吐きました。あんなに吐いたのは人生で一番だったかもしれません。空気までず―っと吐き続けてました。

その日のうちに入院です。

自殺防止の保護室に入れられ、しばらくはそこでの生活でした。どれだけ暴れても叫んでも、助けてもくれない、様子を見にもこない、そういう無の世界です。
やがて通常の部屋に出してもらい、1ヶ月くらい入院していました。外に出ることの喜びと言いますか、曇り空から一筋の光が見えるような、そんな気分でした。

結局キョウチクトウ作戦は大失敗となり、単に入院しただけの事でした。

現在

2022年10月から復職。ただし社用車での運転は禁止。会社への出勤もなし。在宅で仕事をすること、となりました。出勤を止められたのは恐らく会社で見聞きするものが刺激となって、僕の体調が悪くなることを心配しての事でしょう。

復職と同時に作業療法も開始。作業を通じて対人関係の構築や訓練をすると言うものです。

2023年7月現在。週3日の在宅勤務。週2日の作業療法。最近は作業療法の日も午後に少しだけ仕事をしたりしてます。

会社は僕が抜けても回っていくことがよくわかりました。もうそのことを気に病むのではなく、自分の時間が出来たのだと割り切って、やれることをやっていこうと思っています。最近は今使ってるワードプレスで求人広告と会社の宣伝を作ったりしています。

少しは日向ぼっこじゃ、なくなりましたでしょうか?

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